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首・肩の痛み
2022/12/02

四十肩について

四十肩について

四十肩が、今回のテーマです。

鍼灸院への相談が多い症状のひとつです。

 

 

四十肩とは?

 

四十肩という名称は通称で、正式には「肩関節周囲炎(けんかんせつしゅういえん)」といいます。

文字通り、肩の周りの炎症によって、強い痛みや可動域制限が出る症状です。

四十代以降に好発するため、四十肩と呼ばれます。

 

たまに患者さんから「四十肩と五十肩はどうちがうの?」と聞かれますが、同じものです

発症したのが四十代なら四十肩、五十代なら五十肩とお伝えすることが多いですが、呼び分けにあまり意味はありません。

 

四十肩(五十肩)の症状は?

 

症状は2つ。

疼痛(強い痛み)可動域制限(動きが悪くなる)です。

痛みは半年から長いと2年ほども続く場合があります。

その間、適切にケアをしないと、痛みが消えた後も可動域制限が残ることがあります。

 

症状の進行のしかた

 

症状は、「急性期」→「慢性期」→「回復期」と進行します。

ここでは、それぞれの期間の症状の現れ方について解説します。

 

急性期

 

発症から数週間の炎症がもっとも強い期間。

肩から腕にかけて強い痛みが生じます。

着替えが困難になる、安静にしていても痛い、痛みで眠れない(夜間痛)などの症状が出ます。

 

慢性期

 

炎症が治まり安静時には痛みを感じなくなる時期です。

腕を上にあげたり、背中に回したりする動きで痛みが生じます。

可動域制限が出るのもこの時期で、「拘縮期(こうしゅくき)」とも呼ばれます。

 

回復期

 

痛みや可動域制限が回復する時期です。

しかし、慢性期から回復期に痛みを怖がって肩を動かさないでいると、可動域制限が残る場合があります。

 

 

四十肩の原因は?

 

肩関節周囲の炎症によって、疼痛や可動域制限が出ますが、炎症そのものについてははっきりとした原因は不明です。

加齢や運動不足、血流の障害などが原因として考えられますが、はっきりとは解明されていません。

 

 

鑑別が必要な疾患。

 

肩が痛くて挙がらない=四十肩ではなく、他の疾患の可能性もあります。

むしろ、他の疾患の可能性を消した除外診断によって最後にたどりつくのが四十肩です。

ここでは、注意が必要な肩の疾患について説明します。

 

腱板損傷または断裂

 

肩関節は、「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」「小円筋」という四つの筋肉で構成されています。

これらが「腱板(けんばん)」という薄くて強い組織となって上腕骨(二の腕の骨)に付着します。

その腱板が損傷または断裂した状態です。

 

腱板は損傷してしまうとほとんど治癒しないため、保存療法が基本です。

断裂の場合は、手術による再建も選択肢のひとつとなります。

 

石灰沈着性腱板炎

 

これは上記の腱板の部分に、リン酸カルシウムの結晶が付着し炎症を起こす疾患です。

軽度のものでは自然治癒、重度になると吸引や手術によって結晶を除去します。

 

腱板損傷(断裂)はMRI検査で、石灰沈着性腱板炎はレントゲン検査でわかります。

そのため、四十肩を訴える患者さんで、病院での検査を受けていない場合は、まず検査を受けていただくようお伝えします

過去に、四十肩だと訴える患者さんに、病院で検査を受けていただいたところ、やはり腱板損傷だったこともあります。

 

 

鍼灸・マッサージでの治療

 

肩関節への鍼と、首肩、肩甲骨、腕へのマッサージが施術の柱となります。

急性期、慢性期、回復期のそれぞれで、鍼とマッサージの割合を変えていくことになります。

炎症の強い急性期では、肩への鍼の本数が多くなります。

慢性期、回復期では可動域制限が残らないようにするため、マッサージに加えストレッチなどの運動法を入れていきます。

 

「肩が痛くて挙がらない。四十肩かな?」と思ったら、まず病院で検査を。

上記の鑑別が必要な疾患を除外し、四十肩と診断されたら、なるべく早く治療を始めるのがポイントです。

 

 

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